軽油の主成分が炭化水素であるのに対して、
バイオディーゼル燃料の主成分は脂肪酸メチルエステルです。
両者の物理的・化学的性質は異なりますが、
トリグリセリドを主成分とする油脂類と比べると、
バイオディーゼル燃料の性状は軽油により近いといえます。
ディーゼル燃料の特性としてとくに重要なのは、動粘度およびセタン価です。

 
 
 原料となる油脂は動粘度が高い(>30mm2/s(40℃))ため、
そのままディーゼル燃料として使用した場合、燃料ポンプが作動しにくくなる、
フィルターに目詰まりが生じるなどの不具合が生じます。
一方、バイオディーゼル燃料の動粘度の3〜5 mm2/s(40℃)。
軽油の数値に近くなっています。
 
 ディーゼルエンジンでは、
燃料を高圧縮空気中に噴射して自然着火させるので、
着火性の大小が問題となります。
セタン価は、軽油の着火しやすさを表す数値で、
値の大きいほうが着火性の高いよい燃料となります。
原料となる油脂のセタン価は40前後でやや低い値ですが、
バイオディーゼル燃料では45〜60程度となり、軽油と近くなります。
 
 バイオディーゼル燃料の発熱量は軽油と比較するとやや低くなりますが、
分子の構造上酸素を含む「含酸素燃料」なので燃焼性が向上します。
よって、走行性や燃費は軽油と同等となります。
 
 バイオディーゼル燃料は、
原料となる油脂にもともと硫黄分が含まれていないため、
顕著に低い値となります。
 
 バイオディーゼル燃料は、
軽油と比較して低温特性(曇り点、目詰まり点、流動点)が高いため、
寒冷地や冬季では流動性の悪化が問題となります。
このため、寒冷地や冬季に燃料を使用する際には、
燃料に添加剤を加えて使用する必要があります。